楽譜と速読
文章の速読を応用した、独自の練習方法です。 音符を繰り返し書いて、瞬時に読めるようにします。
目次
概要
楽譜に慣れていない人の場合、音を出すまでの手順はこうなっています。

楽譜の音符の位置を見て、それが何の音か考えます。 そして、ドとわかったら、今度は鍵盤でドの場所を探します。

慣れている人は、楽譜を見ただけで指が勝手にドの場所を押さえます。 音符と音、鍵盤が瞬時に結びついています。
簡単な音符やメロディーを繰り返し書いて、 楽譜に慣れていきましょう。 この動画のように、省略した形で十分です。
まずは視覚的に、音符と鍵盤を結びつけて覚えましょう。 そして、歌などの単音のメロディーを、初見でたくさん弾いて下さい。
ヘ音記号やコード譜も、難しくはありません。 他の楽器を練習している人も、鍵盤を覚えて下さい。
基本練習
簡単な譜面を繰り返し書くだけです。 繰り返すうちに、ドレミを数えずに速く書けるようになります。
五線譜ではなく、普通の紙で十分です。 スマホのお絵かきソフトを使うと、 何度も書いて消して練習することができます。

このくらい省略した形でいいので、楽譜を書くことに慣れていきましょう。 長い線は、5本の線の一番下です。ト音記号の第1線と下第1線、つまりドの音を表しています。 まずはこの基本のドの位置と、周辺の音を覚えましょう。
ランダムに音を選んで、その音を数回繰り返し書いて下さい。


このように、1音、2音、3音、また1音、2音、3音と練習して下さい。 繰り返すうちに飽きてきて、頭の中のドレミの発音を省略するようになります。
パソコンの場合は、MuseScoreなどの楽譜作成ソフトを使うと楽です。 楽譜に1音、2音、3音と音符を並べて下さい。 ソフトによっては、音を聴くことができます。
頭の中の発音
最初は声に出して、あるいは頭の中で「ド、レ、ミ」と数えて読んでいたと思います。 繰り返すうちに、頭の中の発音が省略されて、瞬時にドレミで読めるようになります。
楽器の練習と組み合わせると、ドレミを経由せずに、楽譜から楽器、楽譜から音へと、 直接結びつけるようになります。
まずは鍵盤楽器を使って、楽譜と鍵盤を結びつけましょう。 そしてメロディーや曲を弾いて、音感も鍛えて下さい。
鍵盤
読譜の練習では、鍵盤楽器が圧倒的に有利です。 練習している楽器とは別に、鍵盤も覚えましょう。 コードなどの勉強にも役立ちます。
このような小型の鍵盤があると便利です。 いつでも音を出せるようにしておきましょう。
CASIO公式サイト ミニキーボードのページ鍵盤の数が少なく、タッチによる強弱もありません。 ピアノの練習には向いていませんが、 勉強用、確認用にちょうど良いと思います。
初見の練習
初見とは、初めて見た楽譜をすぐに演奏することです。 初見に慣れると、全く知らない曲でも演奏できるようになります。

まずは童謡やヒットソング集などの曲集を使って、 歌のメロディーをたくさん弾いて下さい。 単音の、わかりやすいメロディーから慣れていきましょう。
クラシックも、有名な部分だけを集めた曲集があります。 タブレットなどに無料のデジタル楽譜を表示して練習することもできます。
譜面を見ながら弾くことで、鍵盤や指を見ずに弾く練習にもなります。 逆に譜面を見ないで、暗譜で弾く練習も挟んで下さい。
表現力
楽譜を見て、間違えずに弾くことがゴールではありません。 一つのメロディーをどのように弾くか、研究して下さい。
同じメロディーでも、弾き方によって印象が大きく変わります。 強弱、抑揚、テンポ、間の取り方などを変えて弾いてみましょう。 特に譜面で指示されている部分は、色々と試して下さい。
ポピュラー音楽の場合は、 コード進行とリズムが重要です。 同じメロディーでも、コード進行とリズムによって雰囲気が変わります。 コードやアレンジを勉強して、表現の幅を広げて下さい。
音感を鍛える
多くの音楽では、 メロディーとコード進行の関係が基本になっています。 次の譜面を繰り返し弾いて、感覚を掴んで下さい。


繰り返し弾いていると、 メロディーから伴奏、伴奏からメロディーを連想するようになります。 一日一回でもいいので、弾いて感覚を掴んで下さい。 この感覚は、他の楽器や歌でも役立ちます。
この例では、CFGCというコード進行と、ミファレミというメロディーを結びつけています。 興味があればさらにコードを覚えて、コード奏法やアレンジを勉強して下さい。
コードネームとコード譜
ヒットソング集などの曲集では、コード譜が使われています。単音のメロディーと、 コードネームが書いてある譜面です。

鍵盤の場合、右手でメロディー、左手でコードを弾くのが基本です。 この奏法を覚えれば、曲集を見て色々な曲を弾くことができます。
まずはコードを覚えて、すぐに押さえられるようにしましょう。 コード譜を見て手が勝手に動くくらいに、練習して下さい。 基本練習と同じように、譜面を書く練習も有効です。
コード譜を使った演奏には、アレンジの要素も入ってきます。 コードネームは、音そのものを指定しているわけではありません。 同じ譜面、同じコード進行でも、色々な伴奏をつけることができます。
歌詞サイトなど、歌詞にコードネームを書いただけのものもあります。 ある程度経験を積めば、これだけで演奏できるようになります。
左手を鍛える
ピアノを両手で弾けるようになると、演奏の幅が広がります。 コード奏法と合わせて、ヘ音記号の読譜にも慣れていきましょう。 上で紹介したように、譜面を書いて弾く練習と、初見の練習を繰り返して下さい。

これは五線の一番上の線と、その上の加線のドです。この周りの音を覚えていきましょう。


ト音記号と同じように、ドの音の周辺で、1音、2音、3音と書く練習を繰り返して下さい。
左手でメロディーを弾く練習も重要です。 右手と同じように、歌のメロディーなどをたくさん弾いて、表現を研究して下さい。
調性
クラシックやポピュラー音楽では、12の長調、メジャーキーが基本になっています。 12種類のドレミファソラシドを覚えることで、演奏や読譜が楽になります。

まずは譜面と鍵盤、理論と結びつけて覚えましょう。 例えばニ長調、Dメジャーの譜面にはシャープが2つ付きます。 鍵盤では、黒鍵を2つ使います。



このように、12の調の長音階、メジャースケールを覚えて下さい。
基本的なコード進行とメロディーを弾くと、感覚を掴みやすいです。 Dメジャーの場合はDGADと、ファ#ソミファ#というメロディーを弾いて下さい。
構成
曲の構成を、図でイメージしましょう。作文の練習と同じです。

これは文章の例ですが、このくらいの簡単な図で十分です。 クラシックで言えば楽章、 ポップスならAメロBメロサビのような構成を、図としてイメージして下さい。
ポピュラー音楽の多くは、4小節や8小節が一つの単位になっています。 コード進行などの練習も4小節単位で繰り返すと、感覚的にわかるようになります。